2015/11/24

"シーンの最後尾"から先人への手紙

「シーン」って何...?



TOKYO UNLEARNED episode 40
http://tokyo.unlearned.fm/day/2015/10/21

以前3LAもゲスト出演させていただいた安藤さん(Kowloon Ghost Syndicate)と上杉さん(Endzwreck、まだお話したことはない)のラジオにてこのブログのエントリ「激情ハードコアの本質を何に求めるのかという話」に対するアンサー回が公開されていました。

その後、江古田のポレポレポレにて笠沼さん(同じくKowloon Ghost Syndicate)とみちのくさん(みちのくonline)によるトークイベント「激情ハードコアとは何か」が開催され、こちらもまた90年代の話を中心に、これまであまり語られることのなかった激情ハードコアの詳細について語られています。内容は一部ではありますがアーカイブで見ることができます。
http://www.ustream.tv/channel/endless-nameless-collective

両者とも「俺抜きで激情ハードコア=90年代を語るんじゃねえ」「俺こそが90年代だ」と言うハードコアなプライドを感じさせる濃厚な内容だったので、特にアラサー以下の世代にとっては音楽やそこで語られるエピソード含め、いろんな発見もあって面白い内容です。やっぱりこの積極的な姿勢がかっこいいですよね。
このブログが提示してみたテーマに対して、初めてこういったリアクションで応えてくれたのが嬉しかったですし、こうあるべきだという姿勢を行動を持って示してくれたことについてはマジでリスペクトです。SNS時代、言いたいことも言えないというか、言う勇気もなくクソみたいなエアリプが溢れる中、時間を割いて自分の想いを回答をするっていう選択肢。下手をすれば自分の立場さえ危うくなる、そうそうできるものじゃないです。

激情シーンについては、俺自身(=3LA)は本当に"シーンの最後尾"にいると思ってます(「東京の」って頭につくかもしれませんが)。それは単なる謙遜ではなくて、このシーンはまさに安藤さん、笠沼さんが体験し作り上げてきた90年代のハードコアの歴史と地続きなもので、90年代にそのプリミティブな部分が形成されていると思っています。その時代があったからこそのEbullition、そして00年代以降の欧州激情、そして俺が体験した日本のシーンの流れだったりするので、自分の持っている今の視点や3LAが自分ひとりで作り上げたんだというような思い上がりにならずにすんでいます。あと、当時のいろいろなスタイルの音楽をこうやって改めて何度も何度も紹介することが何よりも大事だなと改めて感じました。何度もやってようやく少し伝わるくらいなんじゃないですかね。

ただ、何故あのブログを書こうと思ったのか、必要だと思ったのか、あの投稿の裏にあったテーマについては両者のアンサーの中で触れられていなかったので今の自分の考えをここで書き留めておこうと思った次第です。

(※「シーン」っていう言葉は、なんとなく使われることもあるけれど、簡単に説明してみると、映画に例えるとわかりやすい。バンドが役者であるなら、背景となる物語そのものをシーンと呼ぶことができると思う。バンドはシーンの一部でもあるし、シーンがなければバンドの評価ってきちんとできないものだと思う。曖昧だけれど。シーンなんて関係ない、っていうのもひとつの考え方だけど、俺としてはそうじゃない、というところです。)

先人たちが切り開いて作り上げてきたこのシーンの現在進行形の流れの中で、3LAのディストロがやっていることは、"激情ハードコアに関して言えば"シーンの最後尾。ディストロにおいてはOtoのサイトや当時のディストロのやり方を参考にしたし、たくさんの人のブログやファンジンとかも読んできたから。要は真似から始まっているわけです。一番楽なポジションとも言えます。でも今は、あの当時シーンの記録はほとんど跡形もなく吹っ飛んでいるというのが、僕の立ち位置からみた景色です。

ディストロをスタートさせてこの5年間、見渡してみても表立ってこのシーンの何かを村の外の誰かに伝えることの出来たライブイベント以外のアクションってほとんどなかったと思っています。もしあったならごめんなさいだけど、それは俺のところには届いてませんでした。あの当時あったファンジンもウェブジンもブログもディストロもほとんど無くなっちゃったじゃないっすかっていう。少なくともこの5年間の情報発信の状況、伝えるべく語らなければフェードアウトするのが当然じゃないっすかっていう。みんな消えちゃったじゃないですかっていう、そういうことです。

誰も手入れをしないまま放置された畑みたいな感じで、Digのやり方を知っている人だけがDigできるけど、シーンを育てることを地道にしてきたのってほんとに一部の人だけなんじゃないでしょうか。バンドだけが己の道を行き自分たちの音を研ぎ澄まして行ったけど...。いろんな情報が抜け落ちて伝わっているというその点について、シーンを作り上げてきた人たちがどう考えているのかっていうのが一番聞きたかったのが本音であります。
当時から音楽の話をしたかった人、聞きたかった人、いっぱいいたと思います。
自分も含めてだけど、外に向けて語ることを今まで放置してしまったことの責任ってないとは言えないと思うんです。だからこそ、ここから先はちゃんと残していこうよって、私からはそういうメッセージです。

でも"シーンの最後尾"は「激情シーンについて」の話であって、今サポートしている新しいスタイルを持ったエモ、ポストロック、激情ハードコア、から大きく派生し進化したネオクラスト、ブラッケンド系の流れ、そしてそれを作り上げている同時代のバンドやレーベル、サポーター、リスナーに関してはシーンの最後尾だとは思っていません。
こちらに関しては先人の誰も参考にならないというところまできてる。バンドに例えるならenvyやMONOの次を目指すんじゃなくて、レーベルに例えるならDaymareを目指すんじゃなくてね。彼らのおこぼれにあずかるのも御免だし。もう憧れていないし、飢えても自分は自分らしくあるべきだと考えています。

向かい風が強くなったらそこが先頭らしいので、そこから先は自分次第ですね。


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