2014/06/09

メタリカ vol.11 『METALLICA』売れた・・・!めっちゃ売れた!



めっちゃ売れたメタリカのタイトル無し、というかセルフタイトルアルバム。
全世界で3000万枚以上売れまくったアルバムでありバンドの人気をメタルだけでなく多くのロックファンや一般層にまで広めた怪作。通称「ブラックアルバム」。
実質セルフタイトルアルバムですが、1stアルバムでないセルフタイトルアルバムというものは大変危険な代物でして、というのは1stでないセルフタイトルの場合はバンドの一念発起や再出発時に採用されるケースが高くその多くは残念な駄盤フラグとなっているのが現実。多くのバンドがセルフタイトルで新たな音楽性を打ち出し、散っていきました。そんな中メタリカのブラックアルバムも新たな音楽性を打ち出したものでしたが世界で大成功をおさめることができました。
その新たな方向性とは、BPMを落とし、より音楽性を拡げた楽曲、そして新しい重さの解釈を提示したものでした。前作でまとまりの無かったバンドがボブロックの下、本当に新たなバンドとして生まれ変わったアルバムであり新たな方向性について何ひとつ迷いのないバンド、サウンドチームを含めた全員の結束の固さを感じさせます。カークのソロもいつも以上に手癖ですがそこにはもう何も迷いもありません。しかし、その方向性が本当に新しかったのかと言われると実はそうではなくMaster Of Puppets期からBPMを落としたり新たな楽曲のアプローチを試してみたりということはしていました。それでは何が違うのかというと、新たなフェイズに入ったということをはっきりと提示しスラッシュメタルに公に別れを告げたということに他なりません。バンドの方向性とその効果を最大化するためにマネジメントサイドはアルバム制作過程を記録し続け、後にドキュメンタリー映像作品として発表していますがこれもアルバムを何かすごいものであるように見せる仕掛けでもあります。制作過程を見せることで、オーディエンスの感情移入を促すというやり方は後のSt.Angerでも採用されており、そのドラマを見せることでアルバムを体験するリスナーにとって作品は物語性のあるものになります。
それがなくともこのアルバムには多くの仕掛けがあります。またギターリフのひとつひとつが本当にキラーでサウンドも多彩、演奏はパワフル、オリエンタルなメロディーも"意図的に"多く導入されています。そして今まで以上にヘヴィで激しいサウンドながら楽曲に普遍性を与えポップに聴かせる、という速くないのにめちゃくちゃ重い激しいという新しいヘヴィネスの概念を提唱するという偉業を成し遂げたアルバム。スラッシュメタルではありませんが、リフも楽曲も一切の無駄がなくその一瞬一瞬が素晴らしい輝きを持っており純粋にヘヴィなロックとして今聴いても色あせていないのが驚きでしかない。以降のストーナーメタルやニューメタルとも関係性が深くメタルをある意味でポップなものにしてしまったという意味では罪深いアルバムであり、またスラッシュ時代の終焉を見越していたのかもしれません。
・本作から学べる教訓としては、常にシーンの新たな概念を提示しろ。
ということなのかもしれません。新たな概念はすなわち新たなルールとなり、ルールを制定した者がそのゲームを制することになるからです。それがメタリカが勝ち続けてきた理由のひとつでもあります。

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