2013/12/03

メタリカ vol.6 まずどこに支持されたのか



時系列がめちゃくちゃになってしまったのと話が進まないので、音源を追いながら進めていくことにします。
これは以前も紹介した1st発表前に作られた伝説的デモテープ。
メタリカがアンダーグラウンドで支持を集めたきっかけとなった重要な作品だ。
メタルマニア達のテープ交換やアンダーグラウンドファンジンのサポートが初期のメタリカの躍進への援護射撃となったことは有名だ。

当時のアメリカのシーンにおいてはヨーロッパのメタルやNWOBHMを聴いているリスナーは非常に限られていたが皆がマニアックな熱量をもっている時代でもあった。
そしてラーズはヨーロッパのシーンに詳しく、家庭も裕福だったので多くのレコードを所持していた。NWOBHMにも通じておりコレクターとしても名高い。
当然今のようなネット環境もなく音楽情報は限定的で友人同士のテープ交換やファンジンがアンダーグラウンドでの情報交換機能を持っていたため、大量のコレクションを所持するラーズは人脈もできてくる。(実際メタリカというバンド名は友人がつけようとしていたファンジンの名前を「それイイネ」といって貰ったもの)
一度マニアが気に入ってくれれば、彼らは喜んでその音源を友人間でデビングし交換していく。そうやってSNSがない時代にメタリカの音源はアナログな方法でソーシャルマーケティングを無意識のうちにかましていくわけである。テープは何回も焼き回され音質は劣化していくが、聴けなければ聴けない程聴いてみたくなるのも人間の性である。

そんな感じでアメリカのバンドながらヨーロッパ的なセンスをもったメタリカの音源は浸透していく。
完全に口コミの世界ではあったが友人間、そして信頼できるファンジンのレビューがあったからこそ彼らとメタルマニアとの信頼関係は築かれていく。これは俺たちのバンドだと。
これがもし有名なDJがラジオで曲を流したとか、どこかのプロデューサーがデビューさせたとかだったら後の成功はなかっただろう。メタリカはメタルファンが始めたバンドで、最初期においてはファン目線だったのだ。ラーズはもっと本格的なバンドを望んでいただろうが最初からそれを狙ってはいないし不可能だ。
まずはバンドを始めること。音源をつくること。
そして一番味方にしたいところを味方につけるというポイントがこの音源では重要だったと思う。

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