2013/11/03

メタリカ vol.4



メタリカのメタルマニアっぷりは当初からレビュアー達からも注目されていたようだ。CDの日本盤の帯にはボーナストラックで追加されているカバー曲についても必ず触れられていたし後に発表されたカバーEP、カバーアルバム、そしてカバーライブなどで自らのルーツを種明かしする。
自分達のルーツとは何か。メタリカはどこから来て何処へ向かうのか。彼らが意図的にそれをしていたのかどうかは不明だが、このマニアックな、一見スラッシュメタルとは繋がりのないと思われる彼らのルーツ音楽趣向がメタリカが"バンドの物語"を多くのメタルマニア達と共有することに成功させた。スラッシュメタルという当時まだあまり知られていない新しい音楽で繋がれなくても、ルーツとしている音楽で繋がれることもあるかもしれない。メタリカは常にメタルマニアに向けて発信してきた。それはメジャー音楽を聴くリスナーではなく、あくまでアンダーグラウンドのメタルマニア達にだ。彼らはどちらのリスナーが自分達に力を与えてくれるのかを知っていた。例えるなら90年代の終わりにブルーハーブがやっていたことと同じことなのだ。自分たちがどこから来たかを明確にしなければ、自分達がなにをしようとしているのか、何処へ向かおうとしているのか、その意味を伝えるのは難しい。
ラーズのメタル愛というのはルーツとなるNWOBHMなどだが、彼はその情熱を方々に認められ有名になっていった。前回紹介しているMetal Massacreコンピレーションもそんな彼の情熱をレーベル主が買ってくれたからこそ実現したものだ。メタリカは確かに戦略的だったが、ラーズは常にフルボルテージの情熱を持ち合わせていたことも付け加えておく。

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